時の風

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メレンゲ 知久寿焼(たま)    5/26 新宿ロフト

文: asu

 7時開演だったけど、着くの遅れて、もう一つのARROWSというバンドは見られず。
子どもを預けて、ロフトに到着したのは7時40分頃。それにしても若い女の子ばっかりだなあ〜。汗臭さとか全然なくて、なんかちょっと懐かしい気分。私もこんな初々しかったなあ。ペロリ。
8時ちょっと前に知久寿焼が始まる。1曲目、「僕の未来は〜(わすれた)生ゴミ〜・・海の漂流物〜」という歌でスタート。ハーモニカとミニアコギ、帽子をほほまですっぽりかぶって弾き語りが始まる。途中一回ギター変えた(それとも持ち直しただけかな?)だけで、40分あまりのステージでした。

 たま、聴いたことありますか?私は完全に「さよなら人類」しか知りません。しかも去年解散したらしい。
曲目は、記憶が曖昧ですが次に「犬が吠える〜・・」と歌う曲、金魚の曲、「電車かもしれない」、また金魚の曲、さらに二三曲。だったと思う。歌詞の風景が目に浮かぶような弾き語りで、まさに物語を「語って」いるような歌。というか知久氏本人も既に物語の一員みたいである。
私が思う(妄想する)に、結論、知久氏は語りべ!ヨーロッパでいう吟遊詩人!アッチとコッチをつなぐ人。
知久氏の周りには、自身のもの他人のものと関わらず、たくさんの記憶や、持ち主にはとうの昔に忘れられたちょっとした想念がうようよ漂っている。「忘れんなよ〜。おれたちどこいけばいいんだよ〜。」といっている。それらを、知久氏が拾って歌に紡いでやる。知久氏に語ってもらった思いはそれで成仏できる。みたいな感じ。ウワサを聞きつけて、そんなのがさらに知久氏に吸いよせられて、それでまた歌って・・。
はい。妄想です。村上春樹の「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」の、夢読みが現実にいたらこんな風に仕事してんじゃないだろうか。
「メレンゲ、楽しんで帰ってね〜」という言葉を残して去っていったのでした。

 15分くらいしてメレンゲ登場。女の子達待ってましたとばかり立ち上がる!私は腰が痛くてもうちょっと座る!
ボーカルは真っ白ポロシャツのボタンを一番上まで留めて登場。ベース、ドラムとサポートギターは「merrenge」ロゴ入り真っ白Tシャツ。さあさあどんなかな。

早速アルバム「サーチライト」から、「輝くホタルの輪」。ピードガっ・・あれ?音ちっさーい。
初めていったからわかんないけど、ここって音大きくしちゃいけないのかな?いやライブハウスだしそんなことないよな・・とか思ってるうちに進んでゆくのであった。ほんと、ちっさかったんだよ。音圧がまるでないというか。お客さんは棒立ちだし、メンバーも緊張してるのか、最初は心なしか動きがぎくしゃくしてる感じした。

 同じ感じで2曲目終わって(いや、まだあったかも)、ちょっと長めのMC。「昨日初めてテレビの生放送で演奏して・・やっぱり歌詞とんじゃったんですよー」「まだそんな器じゃないと思ってたんだ・・」「テレビなんて出たくなかったんだ・・・」
はははは〜!レコ発記念ライブ、気分がほぐれたところでこれからです。がんばって!
次はボーカルがエレキをアコギに持ち替えて、「タイムマシン」。「・・タイムマシンは僕の弱さだっていわれたよ〜。もしそうなら僕は弱い人間だよ〜。」という歌詞が印象深かった。いい曲でした。あと順番忘れたが、新曲「きらめく世界」、「燃えないゴミ」「声」本編最後はアルバム一曲目「夕凪」。これもいい曲だなあと思いました。
インディーズ時代のアルバム「ギンガ」を聴いたとき、作り込まれた、完成した曲達だなあと思ったけど、セカンドアルバム、そしてこの「サーチライト」ときて、繊細さはそのままに、逆に「完成」してしまわずに、より可能性の余地が広がるバンドに変化しているように感じられました。
あれ、もしかして私すごいエラそうな物言いしてる?違うんです!私はただの民間人でそんな資格はない上に、適当に言ってすぐ忘れるという悪癖の持ち主なんです!
だからつまりメレンゲは、昨今の、早さと大音量で客を煽って自らも迫力と勢いでつきすすみ汗と熱狂で終わらすバンドでは全然ないと言うことです。曲と声をちゃんと聴きたいバンドです。そしてちゃんと聴けて良かったです。
なにせとてもきれいな曲達だったから。またライブ見たいなあ。ほんとに。