時の風

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ライブレポート

special

FUJIROCK FESTIVAL'03 2003/7/25.26.27 苗場スキー場

文: asu

1日目  雨が大変だった話
2日目  山崎まさよしASIAN DUB FOUNDATION

COLD PLAYTHE MUSICビョークその後


1日目

朝8時50分の新幹線に乗って、越後湯沢に着いたのは11時過ぎ。この時点で既に外はザーザー雨が降っている。暗い空を窓から眺めながら、1時間あまり列に並んでシャトルバスへ。やっぱり雨だよ〜。どうなっちゃうんだろう〜。けど周りの人々が結構明るい顔して歩いてたのに励まされて、全身にしっかりカッパを着込んで会場へ出発。

バスが苗プリの前について、わーフジロックに来たんだー。と感動し、とりあえずやることもないので、オアシスでラーメンを食べる。食べるそばから雨がラーメンを薄めていって切ない気分。雨はやはりザーザー降り。次は新しくできたオレンジコートを眺めてこよう、とこれまた新しいボードウォークを通って木立の中を進む。外の喧噪(?)から離れてちょっと気分が落ち着いたところでオレンジコート、か、閑散としてる・・。オレンジコートの入り口が斜面になってて、ぐちゃぐちゃにぬかるんでるので、無事に降りられないと判断して退却。フィールドオブヘブン方向へ。これがまた、大変・・・。

泥が重い。冷たい。なのにカッパの中が蒸し暑い・・。一歩ごとにズックが泥に沈んじゃって、歩きにくいことといったらない。とにかくここを脱出するんだ。 ヘブンが見えてきた頃にはイライラメーターが針を振り切りそうだったが、ふと周りを見渡してみれば、はて、ふて腐れた顔の人っていないのね。みんなこんな状況でも別に普通で、ニコニコビール飲んだりしてる。そう気づいて我が身を振り返り、楽しまにゃ損と気持ちを切り替え・・れたらいいんだけど、まあさっきよりはましな気分でヘブンへ。ヘブンはUAの真っ最中。打楽器とUAの唸りに少し立ち止まるが、心の余裕がなさ過ぎて浸ることができない。再び歩みを進める。やっぱ一般人にとっては、アートとは余裕あってこそのアートかなとちょっと思う。

さよーならー。みんな傘さしてるよ。というわけで、・・本日ちゃんと見たのは帰り際に見たMACY GRAYのみ。「サイコパス」から始まって、ノリのいい曲が続くとても素敵なステージであるが、着ているカッパもカッパに入りきらない足もびっしょり濡れてるよ。もういいや・・、撤退。

宿でおにぎりとカップ麺を食べ、泥だらけのズックとカッパを洗い、ズックを乾燥機にかけて乾かして寝る。
明日があるさーーーオロローン。


2日目

前日寝たのは3時過ぎていたが、朝食のためにがんばって8時に起きた。朝食は9時までなのでこうしてはいられない。10分前くらいに食堂にたどり着く。白ご飯がやたらおいしい。はぁ、昨日のラーメンは雨ではげしく薄まってたし、この夜も脂が水できれいに洗い流された牛串を食べることになったのだ。
暗い空を恨みながらテレビ見てるうちに外の雨が弱まり、遠くの方には少し晴れ間も見えてきた。11時頃ようやく部屋を出発。

30分ほど待って駅行きのシャトルバスへ。その後シャトルバスに乗って会場に着いたのは1時頃。小雨気味だが、明らかに土砂降りの昨日よりはまし。すごい疲れてるんだけど、会場に着くとパッと気持ちが切り替わる。

深緑の大きな山と、本当に広い空。今回は曇ってるけど、かえってとても綺麗に見える色とりどりのテント達。駐車場脇の道を進んで、右手にでっかいオブジェを見て、そのうちオアシスを見下ろしながら、音と熱気と歓声の中心へ近づいてゆく。 テンションは別に普通だけども、ただ、今日もここが私の居場所なんだ。幸せなことだなあ。

グリーンステージに着くとちょうど山崎まさよしが始まるところであった。ライブを見るのはこれが初めて。とてもご機嫌。お客さんに「なんたらなんたらイエーイ」とか言いながら、明るいノリノリ曲オンパレード。セロリもやってたよ(てか全然曲を知らない)。
中盤から小雨がちょっと強くなってきて、そこへきて悲しげなイントロ。「名前のない鳥」。静かに大事に聴く。歌声が雨のように、周りの緑とじっと聴いてる客らに沁みてってる。悪天候も悪くない。

疲れたので休憩しようと思ったが、グリーンの出口通路がものすごい混雑。あれを乗り越えるには腰が引けてしまったので、そのままぬかるみの上にシートをひき、ビール片手にくつろぐ。
あれ、トシがめずらしく誰かと喋ってるぞ?と思ったら、なんと会社の先輩にバッタリ出くわしてた。奇遇ですねどころじゃないような、知り合いがいてもおかしくはないような・・びっくりです。我々に椅子とスペースをかしてくれ、その上にご本人はしばらくしてレッドマーキーに旅立って行かれたので、ありがたく落ち着かせてもらう。ありがとうございます。

そうこうしてるうちに俄に人々が集合。ASIAN DUB FOUNDATION始まった。容赦なく踊る。踊る。踊りまくる人々。 た〜のしい!ほんとに私詳しくないのでADF初体験でしたが、深く濃くうねりはねるリズムが気持ちよくてあっという間でした。ピースな波動をを、体対体で伝えあって、高めあって、この空間自体が、メッセージに昇華したのだろうかという自分でもよくわからん感想。たいへん楽しかった。

cold playを待つ

場所移動はせず、そのままCOLD PLAYを待つ。私はあんまり聴いたことなかったが、トシはすごく期待。結果、本当に素晴らしかったでした。
座って膝を抱えて聴き入る客が多かったことからもわかるけど、彼らの曲はすごく美しい。まるで上から降ってくるみたいで、目を閉じて曲の世界に沈んでたくなる。心に沁みる旋律に、どっちかというと素っ気ないほど淡々とした歌声。なんだけど、身が裂かれるような葛藤や切なさ、それらを受容して前を向こうとする強さが生生しいほどに伝わってくる。一触即発の爆弾を抱えてる感じ。
「TROUBLE」「SHIVER」美しすぎて泣く。私は涙もろいので。
これまたしっとりと、土が水を吸うように、曲が空間に沁みてゆく。

さてそろそろ移動するかいなと腰を上げ、トイレに行って並んでみたり、オアシスをうろついてみたり。ぬかるみと子どもで移動時間がかなりかかるので、たいした事してなくても時間がすぐに過ぎてゆく。おーすごいなー火芸人だ。

んで暗くなった頃に、昨日に引き続き、再びTHE MUSIC at レッドマーキー!前のアクトが終わってすぐくらいに入ったので結構早めと思ったんだけど、みるみるうちに人でいっぱいになる。やっぱ彼らは旬の人なんだなあ。前方ほぼ中央に立つ。中は期待と興奮の入り交じった熱気でいっぱいで、気分はいやがおうにも盛り上がる。 昨日のグリーンは、その前からザーザーふりつづいてた雨でやる気なくして、放心してたから見てないんだよな渦巻き。とし君は2度目だが、鼻息荒くしてステージの渦巻きをシャッターに納めている。あ〜確かにここから見ると渦巻きが大きいなあ、そんなことを思っていると、あ、メンバー出てきた、始まった!
「THE DANCE」のイントロ。つ、潰れる〜・・・。
あわてて避難。向かって右側の壁に張り付くと、おーいい感じ。私は背が低いので、人々からちょっと離れてる方がステージ見やすくなるのだ。全員見えるよ〜。ていうか、ミュージックは完全にミーハーなノリで!キャーキャー!かっこいい〜!しに物狂いで踊る。「THE PEOPLE」の踊りも真似してみる〜。もうあがりっぱなし!音の洪水。カオスのまっただ中。きもちいい〜!

さて終わってみれば、カッパがなあい。外はいつの間にか土砂降りだっつーのにな。前述の、脂が洗い流されてただの筋肉繊維と化した牛串を食べていると、橋のすぐそこまで人、人、でいつの間にか埋め尽くされている。そうだ、ビョークの真っ最中!やばい!
肉もそこそこに、滑る土にもたつきながらも大急ぎでグリーンステージに向かう。といっても文字通り人をかき分けながらなので実際はちょっとずつ近づいて、変な坂で滑りながら画面とステージ両方の見える左端へ。

ョークは目の周りを青く塗って、長い耳のような飾り、羽みたいのがいっぱい着いた白いドレスという出で立ち。まるで曲に操られてているように、ステージにはたびたび火柱が立ち、はりつめた中、ビョークが何かを宣言するかのように力強くなにか歌ってる。すごい迫力。な、なんだこの人ヒトなのか?体に鳥肌が立つ。
客はチケット売り切れただけあって超満員だが、周りが息を詰めて次の瞬間を待っているのがわかる。外は真っ暗で冷たい雨。ただステージとビョークが、青みがかった光に浮かび上がり、一瞬の呼吸を置いてほとばしる感情・・・!なんて素晴らしいんでしょう。泣きたくなるよ。何でこんな凄いことが世の中にあるんだろう。
完全に引き込まれる、というより魅入られるといった方がしっくりくるかな〜。
無邪気であどけない、子どものダンスのように手足をふり、とってもかわいいのだけど、一方では、たくさんの有象無象を指揮している王様のように凛々しくも 見える「#$&〜+*」という曲(全然曲名わかんないの!ごめんなさ〜い!)。オーケストラと共に、情感豊かに歌を奏で、爆発させ、アンコール含めて19 曲。ただただ魅せられっぱなし。
本編最後の方、 「HYPERBALLAD」あたりから花火がぽんぽんあがりはじめる。曲、ステージ、画面に映し出されるビョークの微笑みとかとあいまって、興奮は最高潮 です。火柱もそうだけど、火を見ると心の根底が刺激されちゃって、原始時代を思い出すというか別に思い出さないけど、本能がよみがえってくるところがあり ます。つまり大興奮。うわあーなんかわけわからんくなってきたけど、最高だなあ〜。ビョークかーわいい!妖精!ビョークはほんと妖精だったとおもう。

終演後

ビョーク終演後の荒れ果てた会場

その後、人波でトシとはぐれ、私はひとりぼっちでパレスオブワンダーまで流されていったのでした。1時間半くらいかけて。例えるなら満員電車のドア付近並みの混雑のなかに逃げ出すすべもなく一時間弱もまれていたとでも言いましょうか。真実放心した。ビョークとか夢だったのかなって思った。電話するもJフォンは全くつながらないので、そばで電話していたドコモ人に電話を借りて再度挑戦して見るもやっぱり無理。だよねえ。トータル2時間ぐらいしてやっと会え、午前2時近くにバス乗り場に着く。  ところで、当然バスには超長蛇の列。2時間バスを待って、結局越後湯沢に着いたのは、よ、4時〜!さすがに乗客は言葉少なである。さらにさらにタクシーが出払ってるようで、つまりは宿に帰れ〜ん(泣)と不毛な口論をしつつ、さらに無言になりつつ歩いて国道まで出て、やっと電話で一台つかまって、サークルKにて待つ。
すでに心身共にぼろぞうきんのように疲れ切っていたが、やたら明るいタクシーの運ちゃんが、昔のスターとグラビア雑誌について語ってくれて、ちょっと心が軽くなる。宿だ。5時〜(泣)夜が明けてるよ〜。


ほんとこの三日間だけでいいから、苗場に新潟中のバスを集結させてください。そのためなら千円くらいアップしてももうかまわん。

翌朝晴れた青空を見て嬉し残念。今日行く人、ほんと良かったね。楽しんできてね。私ら帰るよ。